竹内真 『風に桜の舞う道で』
- 2015.07.29 Wednesday
- 21:13
予備校の寮に入った頃から大学受験までの出来事を
現代と未来の出来事を交互に描いているので、自分がどの時代の出来事を
読んでいるのかを把握していないと頭がこんがらがってしまう作りに
なっています。
この手法の作品は、ちょっと空いている時間で少しずつしか本が読めない
私は正直、苦手な手法ですが、1つの出来事がある程度長かったのが幸いして
最後まで読むことが出来ました。
バブルの時代の特待生制度としては、朝と夜の食事が付き個室で
予備校から寮に帰ってくると寮での授業があるのは一般的なのでしょうか。
なんだか息苦しくなりそうな生活がうかがえます。
自分の進路に疑問を持ち、志望校の寮に行って同郷者に話を聴くつもりが
寮での宴会に参加したり、テレビゲームをしたりと勉強と人勢に苦悩する
姿が読んでいて目に浮かんできました。
バブル後半は誰もが夢の中にいる気分で、目が覚めたら今までの事が
眼の前から消えてしまうと思う程、不安だったのでしょう。
高学歴になったからと言って、社会に出たら大金持ちや役人などに
皆が成る訳でなく、それぞれの人生に向けっている姿が印象的でした。
中央公論新社
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