渡辺淳子 『東京近江寮食堂』
- 2019.01.12 Saturday
- 08:13
JUGEMテーマ:読書感想文
失踪して10年目に夫から葉書が来たので
消印を手掛かりに滋賀県から東京にやってき寺島妙子。
手始めに蕎麦を食べたのが、運のつき?
関西風の汁のように出汁がきいていない関東風の
汁に閉口し、上野でスリにあって有り金を全て
取られてしまう。財布は後に見つかったが
中にあった現金は、全て抜かれて一文無し。
そんな不運の中、見つけたのというか
財布の拾った人が居たのが、『東京近江寮』。
近江の名前が付いているように、滋賀県公認宿泊施設。
滋賀県の住人ならば、一泊二千円。
これは、現金をすられた寺島妙子にとっては渡りに船。
しかも、管理人の鈴木安江は怪我をして
料理が作れないので、寺島妙子が宿泊者用の料理を
作ることで宿泊費を大幅に割り引いてもらう特典付き。
また、鈴木安江が通る料理は、恐ろしく不味く。
寺島妙子が作った郷土の料理が、病んだ人たちや
海外から来た人の心を癒す。
これは、瓢箪から駒?
夫探しに東京まで来た甲斐がありました。
不幸だった人生から、自らの人生を切り開き
幸福を勝ち取っていく寺島妙子のストーリーは
とても面白かったです。
光文社
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