桜井美奈 『嘘が見える僕は、素直な君に恋をした』
- 2017.12.17 Sunday
- 10:17
JUGEMテーマ:読書感想文
子供の頃、人と話をしていると相手の体がキラキラとした
光に包まれることを体験した藤倉聖。
その光が人の嘘を示すものだと知った藤倉聖は
人との付き合いを極点に晴らすことによって
自分が傷つくことへの対策としていたが
転校生の二葉晴香が川にリボンと取りに
入ったことを切っ掛けに、二葉晴香を
通して人と関わるようになっていく
小説ですが、学園ものなので恋や喧嘩も
当然、描かれています。
冒頭の藤倉聖から推測するとエスパー的な
力を使って問題を解決するような積極的な方向に
進まなかったのは、藤倉聖の性格によるものなのでしょう。
両親が共働きで『ニャー』(安易な猫の名前)と云う名前の猫としか
関わりを持たなかったことが、精神的なひきこもりを
招いたのでしょう。
主人公の屈折した性格は、著者の既刊の『きじかくしの庭』や
『落第教師 和久井祥子の卒業試験』と同じですね。
藤倉聖の人間関係を再構築することに成功した
二葉晴香の行動がストーリーの後半になり前半とは
違ってきたのは、二葉晴香自身が病んでいたことが
原因だったとは、最後に来てどんでん返しを喰らった
気分です。
双葉社
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