沢村凜 『カタブツ』
- 2016.07.10 Sunday
- 13:00
6つの短編からなる『カタブツ』。表題のように堅物の人物が
登場しますが、その人物の周りにいる人が、情けの内容な
行動を取った結果、堅物の人物に迷惑がかかるといった
構図でした。
『バクのみた夢』では、ふとした切っ掛けで出会った
男女が不倫関係に陥ります。しかし、当人たちは
不倫をすることによって、自分たちの家族に迷惑がかかると
思い、関係を清算しようとします。
そう、どちらかがこの世からいなくなることで
不倫の清算をしようと、互いに自殺を図ろうとしますが
目的を達せられず。
結局は、二人して現在の家族関係を清算して
婚姻を結ぶわけですが、その後押しをした人物の
バク(実愛の動物)に対する認識が、かなり怪しいもので
悪魔のささやきかと思えます。
一見、良い方向に向かったように見えますが
周りの人たちに迷惑がかかっていることを思うと
感じの良いストーリーではありません。
こんな話こそ、空想動物のバクが食べる悪夢だと
良かったのですが、そうもいかないところが
現実なのでしょう。
講談社
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